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ジャイロX後期のレストア&チューニング part5

2021年 10月22日 17:26 (金)

今回のジャイロXですが、車体自体は傷みも少なく良い車両なのですが、
ブレーキレバーのガタが大きかったので補修してみました。



ジャイロに限らずブレーキレバーはアルミ製なのでバカ穴に成ってきます。
幸い1,000円以下で新品が購入出来ますが、今回は補修することにしました。
動画を観ると簡単そうに見えますが、アルミのロウ付けは難易度が高いので
自分ではやらない方が良いと思います。(激ムズです)

ただ、動画で撮るには良いですね。
溶接ですと強い光が出るのでフィルターを通して撮影が必要ですし、
作業を行う本人も溶接面で補修箇所が見にくいので慣れが必要ですが
ロウ付けだと溶接面どころか、素手で洋服も通常のままで大丈夫なんです。

ロウ付けの最大のメリットは母材を歪ませたり、溶かしたりせずに
溶接出来ることですがアルミ自体、溶解温度が低いので難易度が高いんです。
YouTubeでもまともに出来ている動画を探すのは難しいくらいです。
バイクはエンジンを始めアルミ製の物が多いのでロウ付けが出来るように成ると
補修のスキルが上がりますので私は1年ぐらい練習して出来るように成りました。
完全マスターすればプーリーの補修も可能に成るので、シンコーメタルの
ステージⅤプーリーのスライド支柱補修をやる予定です。
ステージ7の発売ももうすぐですのでレベルアップ出来るようにしたいと思います。

後半の記事ではセッティングに入る訳ですが、先にセッティングが終了した後の
試走動画を観て頂きたいと思います。



公道での動画なので0~60km/hまでの加速をメインに撮りました。
撮った時間帯が夕方の生徒が下校する時間帯。
しかもスクールゾーンですからそれ以外は流して走行しています。

今回のパーツ構成は素マロベースのコーティングした68マロッシ、
フェンダーインハイパーリバイブ、DIOキャブということで定番チューン。
オーナーさんは通勤で使われるということで二次圧縮も
一般的な9kg/㎠で組んでいますので参考に成る人も多いと思います。
同じジャイロXなら60km/hまで7~8秒
重いキャノピーなら+0.5秒ってところでしょう。

え~そんなに速くない。もっと時間が掛かってしまうと言う人もいると思います。
パーツ構成が同じなら出ているパワーは大して変わらない。
駆動系でパワーをロスしていると考えて良いと思います。

この車両の場合、タイヤでロスしています。
ホイールこそ軽量のダグラスが入っていますが、タイヤがKENDAの
HOLE N-1というゴルフカート用タイヤです。
純正タイヤなら7秒前後、モンキーホイール&タイヤなら7秒切るぐらいに
成ったと思います。

それにしても、このタイヤはミニカー登録までですね~
初めて乗りましたが、60km/hを超えると振動が凄いんです。
後半のセッティングでは70km/hの巡航まで行いましたが、
振動でかなり疲れました。
ワインディングのテストではコーナーのちょっとしたギャップで
タイヤが横に滑るんです。
今までに無かった感覚なのでスリリングでした。

話しを駆動系に戻しますね。
使うパーツやグリスも重要でフリクションロスが少ない物を使わないと
車重が重く、3輪のジャイロは遅く成ってしまいます。
詳しくは今後、限定記事で書く予定ですが、変速が弱い力で行える物ほど
フリクションロスが少ないと思ってください。
変速はエンジンパワーを使いますので、変速に使うパワーが少ないほど
後輪に伝わるパワーが残ります。
車体を動かす力はエンジンで作られたパワーから、駆動系で使ったパワーを
引いた残りですからね。

それでは本題です。
今回のエンジンに使用した腰上は多摩ピットのコーティングマロッシですので
1時間程度のアイドリングと100km程度の馴らしが必要です。
ですので、まずフライプレートのセッティングからやりました。
フライプレートは未加工でもエンジンの振動を抑える効果があるのですが、
今回は通勤でも疲れないようにフライプレートのバランスで振動を出来るだけ
抑えるようにしました。

P_20211008_102831.jpg

やり方ですが、フライプレートにゴルフクラブに着けるウエイトを張り付けて
エンジンの振動が少ない場所を探す。
次に重さを増やして、どの重量で振動が少ないか?探ります。
ウエイトを剥がして取り付けた反対側をその重量分の肉抜きを行います。

P_20211008_104910.jpg

アイドリング中の作業でしたので、糸で50円玉をぶら下げていろいろ試してみました。
ピストンの重さや二次圧縮によって変わりますが、マロッシなら
1~2g抜けばだいたい大丈夫です。

次にキャブセッティングですが、最初はジェットの番手も見ずに取り付けて
エンジン始動しました。
セッティングする時は下から順番に決めて行かないといけません。
アイドリングはスロージェットの領域ですね。
エアスクリューの調整だけで良い感じに成ったので変更の必要は無しです。

スロージェットの濃い時の症状は、アイドリングさせていて
だんだんエンジン回転が下がり止まってしまう。
長い信号待ちの後の発進でボコ付くなどです。
逆に薄い時の症状は走行して停止してもアイドリングがなかなか下がってこない。
長時間のアイドリングでチンチン、カチカチと音がシリンダーからする。
YouTubeで見つけました
アイドリングですので焼き付かないけど、プラグが溶けるほど高温に成ってます。

次に100kmの馴らしですね。
駆動系は当店のチューニングプーリー、純正ベルト、低フリクションチューニングを
施したセカンダリー、シンコーメタルの柔センタースプリング、NCYトルクカム、
KNセカンダリー付属のクラッチと言う構成です。
テスト用WRの4g×3個、6g×3個の合計30gで走行してみました。
テスト用のWRセットは同じ重さが3つづつしか入っていないので、
こんな組み合わせに成ってしまいます。

キャブレターはニードルをチェックすると3段調整の一番上に成っていました。
少し走行してみると薄いと感じて一番下に直しての馴らし走行です。
走行中は60km/hの巡航でもアクセルは1/3以下ですので
メインジェットの領域に入りませんのでこの段階では未確認です。

そうそう!書き忘れました。
プラグは新品の6番プラグ。
キャブレターは中期のライブディオの物でパワフィルが着いていました。
セッティングが出ないと困るので中古の純正エアクリを購入しましたが、
今回は使わずに行けました。
ホンダでもヤマハでも純正のキャブレターは純正のエアクリを基準に
ニードルやカッタウェイの角度などのパーツ構成してあります。
キャブセッティングに慣れていない方は未加工の純正エアクリを使ってください。

エアクリとパワフィルの一番の違いはジェットの中の油面の高さです。
フロート室の油面の高さはフロートバルブで一定に保たれています。
メインジェットは油面よりずっと下に取り付けられていますので、
ニードルジェット内のガソリンが全部吸い上げられてからメインジェットが
利く領域に成ります。
フロート室の気圧は外気圧と同じに保たれていますが、エアクリ内は
エンジン回転が上がるほど負圧が働いて外気圧より低い気圧に成ります。
パワフィルは吸気抵抗が少ないので気圧は、ほぼ外気圧と変わりません。
ですので、エアクリ仕様はニードルジェット内の油面が高く成る。
パワフィル仕様はニードルジェット内の油面はフロート室と同じ程度です。
ニードルジェット油面が高いほどガソリンが吸い上げられやすく成る。
つまり、パワフィル仕様は薄いセッティングに成りやすいんです。

脱線したので戻りますね。
とりあえず、そのセッティングで100kmの馴らしが終わらせました。
ほんの少しボコ付く程度。
通常なら季節的にこのくらいのセッティングにして冬場でも焼けない
セッティングに成るのですが、今回は二次圧縮が9kgと安全領域ですし
ガンコート施工してありますので、ニードルは真ん中で1枚シムを入れました。

ウエイトローラーは30gで良さそう。
デイトナのWRを2セット注文して30gにしました。
発進はアクセル開けてからほんの数秒だけもっさり感があるので
クラッチを軽くすることに。

P_20210615_111126.jpg
P_20210615_111146.jpg

軽くするって言っても穴開けるだけ。

P_20211016_110601.jpg

穴あけ前が134g

P_20211016_111213.jpg

穴あけ後が131.5gで2.5g軽く成って、3枚合計で7.5gの軽量化です。
(6.5mmのドリルで穴あけ)走行してみると6gで良かったかな?
でも、駆動系が温まると丁度良い感じでした。

最後にメインジェットですが、見ると105番が着いていました。
120番で走行すると、ちょっと濃い。
115番に変えて、急坂でもカブらないで登っていくことを確認して
セッティング終了です。
今回はナンバーがミニカーと言うことで長い時間アクセルを開けての
セッティングが出来ません。
アクセル全開では軽くメーターを振り切って体感で80km/h超えても
まだ加速していました。
これ以上は一般道では無理ですし、リアタイヤが暴れて怖いです。
まあ、高速に乗らない限り焼けないでしょう。

前のオーナーさんはニードル一番上、MJ105番というセッティングだったことを
踏まえると、前回書いた薄めのセッティングする人が大部分ということも
分って頂けたと思います。

後はオーナーさんに連絡入れて乗って頂くだけです。

テーマ : バイクの修理・整備
ジャンル : 車・バイク

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2021年11月23日 13:19

トータルバランスを見つけるのはホントに難しいですね
僕もこの冬にはもう一度ディオを一通り調整してみようと思います。
フリクションロスで少しでも楽に走れる様頑張ってみます。