ゴールドキャノピーのOH&チューニングpart3
2019年 08月30日 14:00 (金)
ここのところ天気が悪くて作業が遅れています。

エンジンは完成しているのですが、雨が上がらないと車体に移れないので、
前半はエンジン部分のOH、そして後半は駆動系について書きたいと思います。
前回、腰上を修正したので早速組み上げようと思ったのですが、
ピストンを掃除したら傷が見つかりました。


判りますかね?たぶん落とした傷でしょう。
シリンダーやピストンは落とすと簡単に割れたり、凹んだり傷が着いたりします。
精密部品ですから慎重に扱ってくださいね。
このピストンは幸い焼き付き原因には成ったりしないと判断して
ピストンリングを交換してそのまま組みます。

次はシリンダーヘッドです。
エンジン同様、オイルと埃で固まっていましたが、ヘッドは高温に成るので
灯油で洗浄しても落ちません。
リューターを使って出来るだけ汚れを剥がしました。

裏側はカーボンが溜まっていました。
そのまま組み込むとカーボンの分だけ2次圧縮が高く成ってしまうので
リング交換の際は必ずカーボンを綺麗に落としてくださいね。
良く見るとヘッドにも幾つか傷が着いています。
こんな傷は大体、ベアリングの破片やピストンピンクリップが外れて
燃焼室内で暴れた跡です。
恐らくこのトラブルで腰上を駄目にしていますね。
シリンダーやピストンには、これに伴う傷が無いので違う腰上でしょう。

着いていたシリンダーガスケットは42mm???
2枚重ねで1枚は47mm用の厚さ0.3mm銅ガスケット、もう1枚はアルミの42mm用0.5mm厚でした。
何でマロッシ付属のガスケットを使わなかったのか?
違うボア径のガスケットはトラブルの元に成るので、着いていた47mmと同じガスケットを
2枚追加して組んでおきました。
後は車体に載せてから二次圧縮の調整すればOKですね。

次にリードバルブ。
マロッシ腰上付属のリードバルブが着いていました。
このオーナーさんは自分でメンテを行わない方なので、このリードバルブは
割れたり、隙間が大きく成ったりしますので不向き。
ところが、部品を発注しようとしたらリードバルブ板だけの単体で出ない。
リードバルブベースも一緒のアッセンブリー交換で2000円以上するとのこと。
仕方ないので手持ちの純正リードバルブに着け変えました。

取付けは液ガスを使いたくないので綺麗に剥がして純正の紙ガスケットを使いました。
液ガスの剥がし方ですが、パーツクリーナーを吹いて真鍮ブラシで擦ればOK。
クランクケースなども同様です。
次にキャブレターのOH
この車両はライブディオ前期用のキャブが着いていました。
発進時のボコつき具合からオートチョークの不具合かと思いましたが、
取付け不良でした。
正常に作動するか?後で確認しないといけませんね。
MJは100番が着いていました。
エアクリには幾つも加工の跡があります。
排圧マフラーでこんなに番手を上げなきゃいけないってことは
高回転域でガソリンが足りなく成っていた可能性もありますね。
エアクリは一度純正に戻してリセッティングが必要です。
そして、燃料ポンプが駄目でした。
一応、負正圧ポンプが着いていましたが、コックを締めないと
燃料がダダ漏れ状態に成ります。
ディオキャブは燃料経路が細いので、うちの増量タイプのポンプに交換します。
後半は駆動系です。
着いていた駆動系ですが、横綱プーリーはこんな状態。
WRは片減りしてスライドピースは壊れています。
これで走れちゃうんですからジャイロって丈夫ですね~
清掃してWRとスライドピースを交換すれば使えますが
今回はチューニング依頼ですからプーリーも変えましょう。

クラッチベルは社外の軽量化された物が着いていました。
本当は純正か重いタイプに交換するのが良いのですが、予算の都合上
このままで行きます。

クラッチ本体をバラしたらクラッチはキタコの軽量が着いていました。
クラッチの考え方は軽いほど半クラッチが長く成る。(シューの材質でも変わります)
ボアアップしたらよっぽど高回転チャンバーを着けない限りは重くするのがセオリーです。
これは交換ですね。


トルクカムもキタコが着いていました。
でもOリングの装着位置が間違っていました。
写真を見て判る通り、グリスが全部漏れてしまってますね。
幸い清掃して確認したら再利用可能でした。

センターSPは純正。
今回はベルトの負担を減らす為に4stクレアスクーピーのSPを使う予定です。
セカンダリーは錆も出ていますし、ベアリングもグリスが飛んでいて傷んでいますので要交換。
クラッチとセカンダリーフェイスを純正で購入するならKNセカンダリーアッセンのが
安上がりなのでそちらを使うことにします。

ベルトも社外です。
サイズは純正より幅が0.5mm太くて、長さは少し短いですね。
プーリーを交換する際はベルトは基本交換です。
使うプーリーによってフェイスの角度が異なるからです。
プーリーのフェイス角にベルトが馴染むまで新品を使っても100kmぐらい掛かります。
中古のベルトはゴムが硬化しているのでそれ以上。
よくプーリーを変えたらセッティングが出ないなんて話しを聞きますが、中古のベルトを
そのまま使っていたり、ベルトが馴染む前にセッティングしていることが原因です。
プーリーを変える時にはベルトも交換しましょう。
そこで今回使うプーリーはこいつです。

KOSO×KNプーリーです。
いつもはamazonで安いKOSOプーリーを購入するのですが今回はKN企画さんとの
コラボ商品を買ってみました。
違いはランププレートでした。
この商品の方が材質が硬質です。
走行中にランププレートに掛かる圧力はかなり高い(ダイヤモンドコーティングが剥がれるくらい)
ので出来るだけ硬質な物で反りを押さえてあるのでしょう。
せっかくなので今回はこのプーリーと着いていた横綱プーリーを比較してみたいと思います。
台湾製対中華かな?
まずは卓上で基本性能を比べてみたいと思います。

こんな感じでクランクを万力にセットして実際と同じようにプライマリーを組んでの検証です。
と、ここで問題発生。
KOSO×KNプーリーがシャフトに入らない。
プーリーとランププレートの穴の中心軸が僅かにズレているんです。
ランププレートの穴をダイヤモンドヤスリで修正してあげれば良いだけなのですが、
日本人は購入した物に手を加える風習が無いので、不良品として返品したい人も
いると思います。
そこで、今回はKNさんに交換して貰えるか?メールで確かめてみることにしました。

ってメールを送りました。
帰ってきたメールは・・・・・

う~ん、メールの相手は解っているのか?
質問は返品するのか?自分で加工するのか?聞いたのに
写真と計測して欲しいとのこと。
芯ズレはコンマ数mmでしょうからノギスを持っていなければ計測しても無駄ですし、
写真じゃ判るはずもない。
そこで上記の動画を添付してこんなメールを送ってみました。

そして返信は

やっと理解してもらえた?
とりあえず、交換もしくは返金していただけるので加工が出来ない初心者にも
お勧めすることが出来ますね。
中華製の横綱はこれが出来ないので、不運だと諦めるしか無いですからね。
それにしてもKN企画さんには悪いことしました。
私自身は中華や台湾製は、これぐらいの精度は当たり前で加工するのも
チューニングの楽しみだと思っていますので全然問題ありません。
ただポン付け出来ないと交換を求める人も居るかと思って今回は
あえてメールを送ってみた次第です。
この後、こちらで加工するので対応は結構の旨のメールを送りました。
さて、せっかくなので上記のプーリーの修正加工方法もやりましょう。

ランププレートの穴のバリを取ってから、穴の内側をマジックで塗ります。
そしてプーリーボスをプーリーにセットしてクランクシャフトに入れて数回抜き差しします。
マジックが擦れて消えている部分をダイヤモンドヤスリで削って
上記の作業を繰り返し行います。
スッと装着出来て、プーリーボスのスライドもスムースに動くように成ればOKです。
穴を必要以上に広げると振動が出る原因に成りますので削るのは最小限にするのがコツ。
KOSO×KNプーリーと横綱プーリーの比較検証をやる予定だったのに長く成ってしまいました。
次回に続きます。

エンジンは完成しているのですが、雨が上がらないと車体に移れないので、
前半はエンジン部分のOH、そして後半は駆動系について書きたいと思います。
前回、腰上を修正したので早速組み上げようと思ったのですが、
ピストンを掃除したら傷が見つかりました。


判りますかね?たぶん落とした傷でしょう。
シリンダーやピストンは落とすと簡単に割れたり、凹んだり傷が着いたりします。
精密部品ですから慎重に扱ってくださいね。
このピストンは幸い焼き付き原因には成ったりしないと判断して
ピストンリングを交換してそのまま組みます。

次はシリンダーヘッドです。
エンジン同様、オイルと埃で固まっていましたが、ヘッドは高温に成るので
灯油で洗浄しても落ちません。
リューターを使って出来るだけ汚れを剥がしました。

裏側はカーボンが溜まっていました。
そのまま組み込むとカーボンの分だけ2次圧縮が高く成ってしまうので
リング交換の際は必ずカーボンを綺麗に落としてくださいね。
良く見るとヘッドにも幾つか傷が着いています。
こんな傷は大体、ベアリングの破片やピストンピンクリップが外れて
燃焼室内で暴れた跡です。
恐らくこのトラブルで腰上を駄目にしていますね。
シリンダーやピストンには、これに伴う傷が無いので違う腰上でしょう。

着いていたシリンダーガスケットは42mm???
2枚重ねで1枚は47mm用の厚さ0.3mm銅ガスケット、もう1枚はアルミの42mm用0.5mm厚でした。
何でマロッシ付属のガスケットを使わなかったのか?
違うボア径のガスケットはトラブルの元に成るので、着いていた47mmと同じガスケットを
2枚追加して組んでおきました。
後は車体に載せてから二次圧縮の調整すればOKですね。

次にリードバルブ。
マロッシ腰上付属のリードバルブが着いていました。
このオーナーさんは自分でメンテを行わない方なので、このリードバルブは
割れたり、隙間が大きく成ったりしますので不向き。
ところが、部品を発注しようとしたらリードバルブ板だけの単体で出ない。
リードバルブベースも一緒のアッセンブリー交換で2000円以上するとのこと。
仕方ないので手持ちの純正リードバルブに着け変えました。

取付けは液ガスを使いたくないので綺麗に剥がして純正の紙ガスケットを使いました。
液ガスの剥がし方ですが、パーツクリーナーを吹いて真鍮ブラシで擦ればOK。
クランクケースなども同様です。
次にキャブレターのOH
この車両はライブディオ前期用のキャブが着いていました。
発進時のボコつき具合からオートチョークの不具合かと思いましたが、
取付け不良でした。
正常に作動するか?後で確認しないといけませんね。
MJは100番が着いていました。
エアクリには幾つも加工の跡があります。
排圧マフラーでこんなに番手を上げなきゃいけないってことは
高回転域でガソリンが足りなく成っていた可能性もありますね。
エアクリは一度純正に戻してリセッティングが必要です。
そして、燃料ポンプが駄目でした。
一応、負正圧ポンプが着いていましたが、コックを締めないと
燃料がダダ漏れ状態に成ります。
ディオキャブは燃料経路が細いので、うちの増量タイプのポンプに交換します。
後半は駆動系です。

着いていた駆動系ですが、横綱プーリーはこんな状態。
WRは片減りしてスライドピースは壊れています。
これで走れちゃうんですからジャイロって丈夫ですね~
清掃してWRとスライドピースを交換すれば使えますが
今回はチューニング依頼ですからプーリーも変えましょう。

クラッチベルは社外の軽量化された物が着いていました。
本当は純正か重いタイプに交換するのが良いのですが、予算の都合上
このままで行きます。

クラッチ本体をバラしたらクラッチはキタコの軽量が着いていました。
クラッチの考え方は軽いほど半クラッチが長く成る。(シューの材質でも変わります)
ボアアップしたらよっぽど高回転チャンバーを着けない限りは重くするのがセオリーです。
これは交換ですね。


トルクカムもキタコが着いていました。
でもOリングの装着位置が間違っていました。
写真を見て判る通り、グリスが全部漏れてしまってますね。
幸い清掃して確認したら再利用可能でした。

センターSPは純正。
今回はベルトの負担を減らす為に4stクレアスクーピーのSPを使う予定です。
セカンダリーは錆も出ていますし、ベアリングもグリスが飛んでいて傷んでいますので要交換。
クラッチとセカンダリーフェイスを純正で購入するならKNセカンダリーアッセンのが
安上がりなのでそちらを使うことにします。

ベルトも社外です。
サイズは純正より幅が0.5mm太くて、長さは少し短いですね。
プーリーを交換する際はベルトは基本交換です。
使うプーリーによってフェイスの角度が異なるからです。
プーリーのフェイス角にベルトが馴染むまで新品を使っても100kmぐらい掛かります。
中古のベルトはゴムが硬化しているのでそれ以上。
よくプーリーを変えたらセッティングが出ないなんて話しを聞きますが、中古のベルトを
そのまま使っていたり、ベルトが馴染む前にセッティングしていることが原因です。
プーリーを変える時にはベルトも交換しましょう。
そこで今回使うプーリーはこいつです。

KOSO×KNプーリーです。
いつもはamazonで安いKOSOプーリーを購入するのですが今回はKN企画さんとの
コラボ商品を買ってみました。
違いはランププレートでした。
この商品の方が材質が硬質です。
走行中にランププレートに掛かる圧力はかなり高い(ダイヤモンドコーティングが剥がれるくらい)
ので出来るだけ硬質な物で反りを押さえてあるのでしょう。
せっかくなので今回はこのプーリーと着いていた横綱プーリーを比較してみたいと思います。
台湾製対中華かな?
まずは卓上で基本性能を比べてみたいと思います。

こんな感じでクランクを万力にセットして実際と同じようにプライマリーを組んでの検証です。
と、ここで問題発生。
KOSO×KNプーリーがシャフトに入らない。
プーリーとランププレートの穴の中心軸が僅かにズレているんです。
ランププレートの穴をダイヤモンドヤスリで修正してあげれば良いだけなのですが、
日本人は購入した物に手を加える風習が無いので、不良品として返品したい人も
いると思います。
そこで、今回はKNさんに交換して貰えるか?メールで確かめてみることにしました。

ってメールを送りました。
帰ってきたメールは・・・・・

う~ん、メールの相手は解っているのか?
質問は返品するのか?自分で加工するのか?聞いたのに
写真と計測して欲しいとのこと。
芯ズレはコンマ数mmでしょうからノギスを持っていなければ計測しても無駄ですし、
写真じゃ判るはずもない。
そこで上記の動画を添付してこんなメールを送ってみました。

そして返信は

やっと理解してもらえた?
とりあえず、交換もしくは返金していただけるので加工が出来ない初心者にも
お勧めすることが出来ますね。
中華製の横綱はこれが出来ないので、不運だと諦めるしか無いですからね。
それにしてもKN企画さんには悪いことしました。
私自身は中華や台湾製は、これぐらいの精度は当たり前で加工するのも
チューニングの楽しみだと思っていますので全然問題ありません。
ただポン付け出来ないと交換を求める人も居るかと思って今回は
あえてメールを送ってみた次第です。
この後、こちらで加工するので対応は結構の旨のメールを送りました。
さて、せっかくなので上記のプーリーの修正加工方法もやりましょう。

ランププレートの穴のバリを取ってから、穴の内側をマジックで塗ります。
そしてプーリーボスをプーリーにセットしてクランクシャフトに入れて数回抜き差しします。
マジックが擦れて消えている部分をダイヤモンドヤスリで削って
上記の作業を繰り返し行います。
スッと装着出来て、プーリーボスのスライドもスムースに動くように成ればOKです。
穴を必要以上に広げると振動が出る原因に成りますので削るのは最小限にするのがコツ。
KOSO×KNプーリーと横綱プーリーの比較検証をやる予定だったのに長く成ってしまいました。
次回に続きます。