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ライブディオZXエンジンのOHとチューニング

2018年 09月12日 09:15 (水)

前回、私のジャイロで当店のプーリーを使い切った時の回転数と速度の関係を書きました。
ライブディオZXに当店のプーリーを装着した時の回転数と速度の関係を教えて欲しいと
メール頂いたので少し書きますね。

ZXの場合、タイヤの外径から計算してタイヤを1回転させると130cm進みます。
そしてギア比は1次側が3.153、2次側が3.461で変速比は10.91に成ります。
たとえば8500rpmの時の速度を割り出してみましょう。
8500÷0.625(プーリーの最大変速比)÷10.91=1246.5rpm(ファイナルシャフトの回転数)
1分間に1246.5回転するので1時間では1246.5×60=74790回転
進む距離は74790×1.30=97227mですから約97km/h出ます。
(これはZXの計算でライブディオはギア比が違います)

でも、これはあくまでも計算上。
実際は50ccでこのプーリーを使い切って8500rpmまでエンジンを回すパワーはありません。
ノーマフと純正シリンダーで7500rpmが良いところです。
それでもプーリーを使い切っていれば85km/hは出ますからね。
7500rpmじゃ~リミッター手前です。
当然、火花の強い純正CDIを使う方が最高速も伸びるってことで
当店のプーリーでは社外CDIは必要無いって感じです。

そしてもう一つ重要なのはシリンダーとマフラーの組み合わせでパワーバンドが
異なり、最高速も変わってくることです。
前記事で私のジャイロは素マロにハイパーリバイブの組み合わせです。
この組み合わせだとパワーバンドは7000~8500rpmに成ります。
最高速はパワーバンド+オーバーレブの1000rpmってところですから
9500rpmまで回るようにチューニング&セッティングしてあるわけです。

ちなみに純正シリンダー+純正マフラーの場合、パワーバンドはカタログ上
ZXもジャイロも6500rpmが最大出力ですよね。
オーバーレブを考慮して7500rpmまで回るようにセッティングすれば
一番速く走れるセッティングに成るって感じです。

そしてこの領域で走るためには駆動系のフリクションロスを出来るだけ減らして
良い状態に保つことが不可欠に成ります。
そこで、前回予告した駆動系のメンテナンスです。

でも、長く成りそうなので次回に続きます。
それでは本題です。
今回、OH&チューニングで入ってきたのはライブディオZXの中期エンジンです。

P_20180903_171513.jpg

デイトナのクーリングファンが着いていますね。
このファンはフィンが大きくて空気抵抗が大きい割に風量が少ないんです。
他社の強化ファンとフィンの向きが逆だからです。

P_20180903_180807.jpg

そして、シリンダーの刻印がA-1です。
ライブディオのシリンダーはA-1~A-7?ぐらいまであります。
数字が小さいほど早く製造された物のようです。
なので、このシリンダーは前期エンジンの物かも知れません。

駆動系側も外そうとするとLカバーのネジが1本抜けません。

P_20180903_172118.jpg

そして、1本は途中で折れています。
これはネジの締めすぎです。

2stディオ系のエンジンは特殊です。
通常、スクーターのLカバーは紙ガスケットにアルミボルトの組み合わせです。
でも、ディオ系エンジンだけはゴムパッキンと鉄ボルトの組み合わせなんです。
私の推測ですが、普通クランクシャフトは左右の長さがほぼ同じです。
ところがディオ系のクランクシャフトは駆動系側だけが長く造られています。
そのため、エンジンの振動が駆動系側だけ大きく成る。
この振動を吸収するためにゴムパッキンが使われていると考えています。

そして、締めすぎを防止するために、このボルトにはストッパーが付いています。
締めすぎるとゴムのクッションが活きないですからね。
鉄製なのは振動でボルトが伸びないようにでしょう。
ところがラチェットで締めると、このストッパーに気付かず
締めすぎてボルトを折ってしまいます。

私のブログではケースネジはラチェットじゃ無く、ドライバーハンドルを
使ってくださいと何度も書いていますね。
チューニングエンジンは振動も大きく成るので持っていない人は買ってくださいね。
ストッパーに当たったらLカバーの締め付けはOKです。
今回は今後折れる可能性があるボルト5本全て交換です。

駆動系パーツを外したらいつものように左右のオイルシールのチェックと
クランクシャフトの振れの計測です。
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針の振れは24/100ってところでしょうか?
この振れの原因も探らないといけませんね。

P_20180903_180137.jpg

あれ?フライホイールが綺麗です。コイルも綺麗。
これはもしかすると1度、腰下OHされたエンジンかも?

P_20180903_185132.jpg

コイルを外すとお客さんです。
長年OHをしているとコイルの裏からいろんな物が出てきます。
多いのは動物の毛やネズミの糞、数年前はカマキリの卵が出てきました。

ケースを良く観ると液ガスが大きくはみ出しています。

P_20180903_180903.jpg

やっぱり、一度オーバーホールされているようです。
オーナーさんからは腰下からの異音と言うことを聞いていました。
オイルシールの状態からはオーバーホールされて1万kmは走っていないと思われます。
ベアリングが早く傷んだ原因も探らないといけませんね。

次に腰上をチェックしました。

P_20180903_180730.jpg
P_20180903_180710.jpg

写真では判りづらいのですが、燃調がかなり薄いようです。
プラグは7番が着いていましたが、真っ白でした。
オーナーさんに聞いたらエアエレメントのカスがキャブまで有ったそうです。
恐らくエレメントレスと同じような感じだったのでしょう。
だから燃調が薄かったんですね。

シリンダーとピストンはオイル切れ寸前でしたが何とか大丈夫。
リング下の圧縮漏れも少ないようなのでピストンリングも再利用します。

オイルポンプを取り外してチェックします。
オイルシールがかなり傷んでいます。
腰下OHの際に一緒にやらなかったのでしょう。
オイルは純正より良い物を使っていますね。

ベアリングが早く傷んだ原因はオイルポンプの不調と思われます。
残すはクランクが振れている原因だけですね。
ケースを割ってクランクをチェックしてみました。

動画は割愛しますが、クランクの振れは20/100mm強でした。
ライブディオのクランクはクランクウエイトが開いて振れていることが多いのですが
このエンジンはシャフトのネジレにより横方向に振れていました。
どういうことかと言うと、クランクピンを支点にウエイトが動いてしまっています。

話しが前後しますが、このエンジンはプライマリーワッシャーが入っていませんでした。

P_20180903_172753.jpg

プライマリーワッシャーはフェイスとナットの間にあるワッシャーです。
これを入れずに組み付けるとフェイスを装着するスプラインが潰れて
脱着が出来なくなるんです。
このエンジンは多少潰れていますが何とか使える状態。

そして良く観るとシャフトとナットのネジ山が傷んでいるのが判ります。
これはインパクトレンチを使った為です。
別の写真を観てもらえば判るかな?

P_20180903_172811.jpg

今の時代は電動工具が安く手に入ります。
YouTubeなどでも駆動系の脱着動画でよく使われていますよね。
確かに便利ですが、ケースのボルトを折ったのも、クランクの芯がズレたのも
ネジ山を駄目にしたのも、このインパクトレンチの使用によるものです。
有ると便利な工具ですが、トルクや使い方を誤るとエンジンを駄目にしてしまいます。

このエンジンのクランクは、まだ軽傷だったので芯出しして精度を戻し
ネジ山は切り直して何とか再利用しました。
(書くのは2行で済みますが、実際はかなり時間が掛かるんですよ)

次はギアボックスのOHです。

P_20180904_134751.jpg

ギアケースを開けてみると、オイルは規定量入っていましたが
オイルはコーヒー牛乳みたいな色です。
これは水分が混入したか?もしくはオイルの性能が悪いのか?
まあ完全に腐っていました。

ライブディオのギアケースにはドレンボルトがありません。
なのでバイク屋さんでも交換することは殆ど無いんです。
この時代の2st原付スクーターは2万km、5年使用を目標に作られていましたからね。
通常は無交換です。
ただし、今2stスクーターを乗っている人は20年前の車両です。
今後乗り続ける人はオイル交換も必要ですよ。

次回に続く

テーマ : バイクの修理・整備
ジャンル : 車・バイク

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やんちゃプーリー

2018年09月22日 02:01

やんちゃプーリーの変速比は前のブログでは0.59と書いてありましたが、何かが変わりましたか?

やんちゃプーリー使ってますが、ディオの社外スピードメーターから逆算すると0.68~0.69になりました。

宜しかったら変速比の計算方法を教えて下さい。

Re: やんちゃプーリー

2018年09月26日 02:14

けんさん

前に書いたブログで変速比の理論値の出し方を説明した記事が有るので探してみてください。

0.59の変速比を出したのは、確かステージⅤプーリーです。
丁度、大口径チューニングプーリーが手元に無かったのでステージⅤのプーリーを使って
記事を書いたと思います。

大口径プーリーの変速比は0.69ぐらいなので、けんさんの計算は合っていますよ。
やんちゃプーリーは大口径チューニングプーリーにフェイス角を変えた物で
変速比は別物です。
現在は市販に向けてテストしています。

2018年09月26日 21:18

すいません、大口径プーリーとやんちゃプーリーが同じ物だと勘違いしてました。

自分は大口径プーリーの変速比0.69でもトルクカムの最大変速加工も使いきっていてセカンダリー側ではベルトをこれ以上落とし込めないので完璧だと思っていましたが、それ以上も可能なんですね。

ベルトを長くしたりしないと、クランクに負担が掛かりそうですね。

Re: タイトルなし

2018年09月26日 23:03

けんさん、こんばんは。

いえいえ、私のブログが説明不足です。
やんちゃプーリー(仮名)は開発途中の為、今までブログで紹介していませんから勘違いするのも当然です。

私がブログで書いた計算方法は、あくまでも理論上のものでベルトの伸びや滑りは一切
考慮していません。
ゴムの純正ベルトは高回転時に最大で1~2cmぐらい伸びるのでは?って考えています。
実際の変速比は正確な速度とエンジン回転数から計算するのが一番だと思います。

現実的にはセカンダリーの落とし込みで変速比0.59のステージⅤを使い切りますから
ベルトを長くしなくても大丈夫なはずですよ。