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KH250の腰上修復

2017年 08月18日 23:24 (金)

コメントを頂いた「何故、私がカーボンリードバルブに拘るのか?」ですが、
その前にカーボンという材質について説明しますね。

カーボンは強くて軽いということで、テニスラケットやゴルフクラブを始め、
多くの商品に使われています。
モータースポーツでもF1などは、ボディからサスペンションまでカーボン素材で作られています。

カーボン素材の整形はドライカーボンとウエットカーボンが一般に知られていますね。
製法や違いは、こちらのページを参考にして頂ければと思います。

リードバルブに使用されるカーボンですが、old_kpさんのブログで検証した通り、
ドライカーボンはすぐにササくれてしまって使えません。
そしてウエットカーボンですが、ドライカーボンよりはマシ。
マロッシのカーボンリードバルブも、このウエットカーボンで使えるのは短期使用。
ササくれたり、ガソリンが染み込んで反ってきてしまいます。

じゃ~カーボンリードバルブは使えないの?ってことですが、
調べてみるとホンダとカワサキが純正部品で出していました。
どちらも競技仕様のモトクロス車両用で価格も高価です。
ブログでも紹介しましたが、私はホンダCR250の純正カーボンリードバルブを
入手して検証しました。

ドライともウエットとも異なる製法で、カーボン繊維を耐油性のフィルムで
挟み込んだ物でした。
これなら反ることも、ささくれることもありません。
もし、割れても柔軟性のあるフィルムで、クランクケースへの欠落を防げます。
ところが、CR250はモトクロスですからアクセルレスポンス重視のため
リードバルブが硬いんです。

そこで、今のリードバルブに行きついた訳ですが、
フィルムでのサンドイッチ製法のカーボンでも欠点が有ります。
これも前に説明しましたね。読んで思い出してください。
エンジンの仕組みから考えるチューニング 4

純正に使われているリードバルブは金属リードバルブ、または樹脂リードバルブです。
金属リードバルブは追従性が良いのでレスポンスが良いのがメリットですが、
硬いので大きく開かない。
つまり、高回転が苦手なんです。
樹脂製リードバルブは金属リードバルブの逆でレスポンスはイマイチですが、
大きく開くので高回転が良い。
つまり、最高速が伸びるんです。そして、樹脂ですから熱に弱い。

ジャイロの純正リードバルブは確か、前・中期が樹脂で後期が金属でしたね。
何故、後期が金属に変更されたか?
ジャイロの後期車両は排ガス規制をクリアするため、マフラー内で残った
不燃焼ガスを再燃焼させる仕組みに成っています。
つまり、強制的にバックファイヤーを起こしているので熱に強い
金属リードバルブに変わったんです。

じゃ~何でカーボンリードバルブに拘るのか?
樹脂リードバルブと具体的に何が変わるのか?
長く成ったので次回書きますね。
それでは本題です。
少し間は空きましたが「2stの腰上をドライコーティングで補修する」の続きです。
社外のオーバーサイズピストンが入っているKH250ですが、
ピストンの左右が0.20mmも違う駄目ピストンが入っていたおかげで
ピストンが首を振って傷だらけでした。

恐らく前オーナーが入れたもので、今のオーナーさんは何も知らずに購入したのでしょう。
何せ40年前のエンジンですから、良い車両は安くても100万はしますからね。
安値で手に入れた車両は、まずエンジンも何かしらのトラブルを
抱えている可能性が高いと思います。

さて補修の内容ですが、シリンダーは首降り防止と
ボーリングして形が変わってしまったポートの修正を行ってからドライコーティング。
ピストンは傷補修と形状補正を行った後でドライコーティングと成ります。

まずはシリンダーのポート修正

P_20170809_103543.jpg

ホーニングした後、赤鉛筆で修正ラインを引いてリューターで補正します。
補正後のポートはこんな感じ。

P_20170811_214110.jpg
P_20170811_214125.jpg
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シリンダーを診ればオーナーさんがどんなオイルを使っているか?から、
メンテナンスの様子まで想像出来ます。
このエンジンは良いオーナーさんのようで、修正もやり過ぎてしまい
ほとんどフルポート加工に近く成ってしまいましたw

後はバリ取り、面取りなどを必要に応じて行いコーティングするだけです。
多少の傷はありましたが、補修無しでもコーティングで埋まる程度の傷です。

次はピストン。

P_20170816_175441.jpg

傷の凸をペーパーで削ってからコーティング。
再度、ペーパーでコーティングを落とします。
すると、凹にコーティングが残って傷が埋まります。

P_20170816_184849.jpg

次に0.20mmも差が有ったピストンの大きさを修正します。
ピストンのサイド部分をコーティングで塗り重ねていきます。

P_20170816_215715.jpg

今回は前後、左右を計りながら4回ほど重ね塗りしました。

P_20170816_220139.jpg
P_20170816_220209.jpg

はい!これで差が0.05mmに成って、まともなピストンの差に成りました。
後はシリンダーとのクリアランスを見ながら、全体にコーティングすれば完了です。
各部のサイズ調整は内燃機屋さんでは出来ません。
ドライコーティングだからこそ可能な調整、修復なんです。
この腰上ですが、今までに無かったパワーと静寂性で別物に成りますよ~

次回はマッハ400SSの腰上の修復です。


テーマ : カスタム
ジャンル : 車・バイク

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2017年08月19日 11:48

こうやってコーティングを重ねるだけで、首降りの防止になるんですね
素人考えだと、厚く塗ってるコーティングが早く削れてしまうのではないかと思ってしまいますが、この威力は素晴らしいですね
リードバルブ、僕も金属なので、いつか作ってみたいですね
以前、ホームセンターの極薄プラ板で挑戦してみようかと考えた事がありました

Re: タイトルなし

2017年08月20日 01:54

ウルトラマンボーイさん、こんばんは。

このコーティングは以前、ブログで紹介した市販のスプレーとは違って金属に近い硬さなんです。
過去にold_kpさんは1mmぐらい減ってしまったポルシェのピストンをコーティングで再生していましたから、
0.2mmぐらいなら問題ありません。

リードバルブは金属で無い場合は耐油である必要がありますから、ホームセンター辺りの素材ではまず不可能です。
「東レ」などの繊維科学メーカーに相談して作って貰うのが良いのですが、とんでもない金額が掛かります。