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KH250シリンダーの再生

2017年 07月16日 12:24 (日)

やっと大口径プーリーが完成しましたのでショッピングサイトにアップしました。
(ブログを書いている数時間で売り切れてしまいました)
*今後は受注生産に切り替える予定です。

最近は旧車のビッグ2stの腰上がかなり入庫してきます。
安値で再生出来、コストパフォーマンスが良いので
旧車マニアの間で噂に成ってきているようです。

そこでビッグ2st用の腰上再生のメニューを増やしました。
これについては後半に説明しますね。

P_20170708_165407.jpg

これが今回入庫したKH250の腰上ですが、ピストンが小さいですね。
実はジャイロのマロッシシリンダーよりもピストンは小さいんです。
KH250純正のボアは45mmですからジャイロのクランクストロークなら62ccです。
シリンダー3個でも180cc強しか無いわけですから、ストロークはジャイロやディオの
1.5倍もあるってことですね。

これは現在の2stでは、ありえないぐらいのロングストロークです。
理由はこれ!

P_20170708_170012.jpg

排気ポートと同等の大きさがある吸気ポートがあるためです。
この吸気ポートはピストンのスカート部で開閉を行うピストンバルブ方式なんです。
メリットは、リードバルブ方式と違って掃気ポートが開いている時は吸気ポートが
閉じているのでキャブレタへの混合気の吹き戻しがほとんどありません。
デメリットはストロークが大きいことと、高回転域で吸気が足りなくなりがちなので
上が回りづらいんです。
でも、ロングストロークによって大きなトルクを生み出すことが出来ます。

このピストンリードバルブを備えたエンジンはピストンが吸気ポートに引っかかって
ピストンが首を振り易いのが特徴です。
その為に吸気ポートはハート形に成っている訳ですが、それでもエンジンからの
首降り音が大きい。
当然、ピストンとシリンダーが強く当たるので、傷が入り易いんです。

実は当店では、この首振り防止加工を無料で行っているんです。
ですので、うちでドライコーティングで再生したエンジンは凄く静かに成ります。

後半に続く。
40年以上も走っているエンジンですから、殆どのエンジンが
複数回の腰上オーバーホールを行っていると思われます。
このエンジンも例外では無くピストンを確認すると1mmのオーバーサイズピストンが
入っていました。

P_20170708_170118.jpg

この100っていう数字が1mmオーバーサイズってことです。
現在は欠品している車種も多く、殆どが社外のオーバーサイズピストンが入っています。

P_20170708_182519.jpg

今回のKH250だと1mmのオーバーサイズピストンを入れると排気量は260ccです。
本来ならナンバーが変わって車検が必要な排気量に成ってしまいますが、
変更届を出している人なんか居ません。
私はこれをずっと見てきているので、原付が数ccボアアップしただけで
ゴチャゴチャ言われることに違和感があるんですよね~

ピストンにL・C・Rの刻印が見えるでしょうか?
これは左、中、右って意味ですね。
そして、100の刻印の大きさが1つだけ違います。
1つだけ種類の違うピストンが入っているんです。

そこで、リングギャップを計ってみると・・・・

P_20170708_171459.jpg

何とリングギャップが目測で1.5~2mmもあります。
ちなみにKH400の純正のリングギャップは0.7mmですから、
250なら0.5~0.6mmぐらいのはずです。
当然、圧縮は漏れやすく成りますし、ピストンも首降りしやすく成ります。
今回はピストンリングは新品を使っていただくことにしましょう。

当然、ボアもピストンに合わせてボーリングによって広げてあるのですが、
ボーリング屋さんもピンキリです。
精度や技術、仕事の丁寧さも違います。

P_20170708_165952.jpg

排気ポートの面取りは酷いですね。
欠けや削れは、ドライコーティングでは修復出来ませんので
妥協しなければいけない部分です。

そして、シリンダーボーリングのデメリットこれ!

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ポートの大きさや形が変わってしまいます。
ここは性能に大きく影響する部分です。
そこで、春にシンコーメタルさんで教えて頂いたポート修正の技術が役立ちます。

P_20170713_121219.jpg

ちょっと写真を撮る角度が変わってしまいましたが、綺麗に修復しました。
3気筒ともノギスで計って均一な高さと形に修復してあります。
更に吹き出し方向も修正して純正よりパワーアップするように加工してあります。
次回からこの修正ポート加工をオプションで選べるようにしますね。

ここまでの作業を行ってから、ピストンとシリンダーをコーティングする訳ですが、
ピストンクリアランスは純正よりかなり狭く加工してあります。
装着時は少し難しく成りますが、慎重に装着してください。
初めてのエンジン始動時は最低1時間のアイドリングを行ってから
慣らしは少しづつ負荷を掛けていく時間を増やしてくださいね。

ドライコーティングエンジンは慣らしの上手い、下手でシリンダーの出来が変わってきます。
慣らしが上手ければ、良いシリンダーに仕上がるし、下手ならダメエンジンに成ります。
つまり、自分でシリンダーを造っていく楽しみもある訳です。

テーマ : バイクの修理・整備
ジャンル : 車・バイク

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