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ドライコーティングの効果とチューニングについて

2017年 07月15日 04:23 (土)

松山は、まだ梅雨明けは先に成りそうですが、すでにクーラーをかけています。
これじゃ~先が思いやられますぇ~
今年は暑く成りそうですから熱中症や夏バテには注意しないといけませんね。

夏場のトラブルと言えば駆動系の熱ダレですが、ブログでフリクションロスを
低減する記事を散々、書いてきたためか熱ダレに関する質問はかなり減ってきました。
代わりに増えてきたのがシリンダーの焼き付きについてです。
特にボアアップシリンダーの焼き付きが多いのですが、
焼き付きの原因は大きく分けて3つあります。

1つは、シリンダーの造りが悪い場合。
各部のクリアランスやギャップ、ポートタイミングなどが適切で無いシリンダーです。
中華や台湾製の安いシリンダーに多いですね。
この前、3個ぐらいKN企画さんで仕入れたシリンダーもクリアランスはバラバラでした。
ポン付けする人にとってはロシアンルーレットですw

2つ目は、使う人のミスによって焼き付く場合。
サークリップが外れたり、傷んでいるエンドベアリングを再利用したり。
2stオイルを切らしたり、ポンプにエアーが噛んだりの、ポンプ不良も多いようです。

最後はパワーアップによる焼き付きです。
パワーはエネルギーが増えればUPします。
エネルギー熱ですから、増えた熱量の対応が出来ていなければ焼付く訳です。
海外のレース向けや、排気量が大きいシリンダーに多いです。
大半のショップは圧縮を落とすなど熱量を純正に近づけることで
焼き付きを回避していますが、その分パワーも小さく成ります。
特に冷却性能の弱い縦型エンジンの場合、圧縮を落とさずに組むのは
上級者でも難しいですね。

ジャイロの場合、私のマシーンはマロッシで慣らし時に圧縮12kg/㎠、
通常時は14kg/㎠でテストしていますので、お客様の車両の場合
吸排気の仕様によっても異なりますが、テストの2kg/㎠ダウンで組みますから
慣らしで10kg/㎠、通常時12kg/㎠ぐらいですね。

エンジンって不思議なもので、同じ仕様の車両でも速さが全く異なります。
4月に阿波三輪會の方々の車両に乗らせていただいたのですが、
ほぼ皆、同じ仕様なのに速さが違うんですよ。
車両もUP・X・キャノピーとさまざまでしたが、特に感じたのが
ギアボックスとタイヤでかなり変わってくるような気がします。

ジャイロは三輪車ですからリア部分のフリクションロスを低減すると
かなり変わってきます。
タイヤは皆さん、好みで選択が変わってきますが、トランスミッションの
当たり外れは速度に大きく影響しますね。
最高速で10kmぐらいは変わると思います。

私のサブエンジンも、ギア鳴りが出ていてメインエンジンよりフリクションロスが大きい。
今回のチューニングではギアボックスのフリクションロス低減がテーマです。
これは、そのうちブログで紹介しますね。

それでは本題です。
この春は神奈川のシンコーメタルさんまでロングツーリングに行ってきました。
その目的の一つに、旧車の腰上再生のための技術の向上がありました。
当店ではドライコーティングを行っていますが、原付での需要はまだ少なく
ビッグ2stエンジンの依頼が急増しているからです。

入庫して来るシリンダーはスズキのGT、カワサキのマッハやKH、ヤマハのRD
どれも40年以上前の旧車です。
今まではボーリングを行ってオーバーサイズピストンを入れたり、
スリープを入れ替えて再生を行うのが主流でしたが、かなりの金額が掛かっていました。
40年も経つと車両の傷みも激しく、エンジンにばかりお金を掛けるのが大変なんです。

当時の新車販売価格は30~45万円ぐらい???
腰上再生に10万円、下手をするとエンジンのレストアだけで車両価格を超えてしまいます。
ドライコーティングでの再生なら3分の1で済みますからコストを抑えられる訳です。

今回、入ってきた腰上はカワサキのKH250。
このシリンダーのレストアは次回の記事で詳しくやりますね。

ドライコーティングには2つの用途があります。
1つは、再生。
もう一つはパワーアップです。
特に高圧縮でパワーを上げていくにはドライコーティングは欠かせません。

今までのストリート2stのエンジンチューニングでは、高圧縮チューニングには
無理がありました。
高圧縮で発生するエネルギー(熱量)ではピストンの冷却が間に合わなかったからです。
鉄のシリンダーに対して、ピストンはアルミ製です。
熱膨張はアルミの方が大きいので、高温に成るとピストンとシリンダーの間の
隙間が無くなり、焼付いてしまいます。
ですので、予めピストンの温度上昇を想定してピストンとシリンダーには
隙間を設けてあります。
これがピストンクリアランスです。

ジャイロや横ディオのシリンダーのボア径は40mmです。
これに対してピストンは0.04~0.06mm小さく作ってあります。
40mmボアに対して0.06mm小さいピストンは前後左右に0.03mmの
隙間が出来る訳です。
マロッシのボアアップシリンダーのピストンクリアランスは0.08mmです。
純正よりもパワーがあるため、高温に成るのでクリアランスが広い訳です。

これを0.1mm以上にすれば、もっと熱量が増えてもピストンとシリンダーの間の
隙間が確保できるので焼付かない訳ですが、
ピストンが首を振ったり、ピストンリングが振動したりしてエンジン音が大きく成ります。
現にマロッシシリンダーの0.08mmのクリアランスでも首降り音やリング鳴りが
出ている車両は多いんです。

このピストンの首降り音やリング鳴りを低減するために行うのが腰上への
ドライコーティングってことです。
シリンダーを高圧縮でも焼付かないレベルまで広げてから、コーティングで
純正以下のクリアランスに成るまで埋めます。
馴らしを行うことでシリンダーとピストン、ピストンリングで擦れあって
そのチューニングエンジンの適切なクリアランスまで自己形成できます。
余分な隙間が一切できないので、首降り音は最小限に抑えられる訳ですね。

無加工のマロッシのボアアップシリンダーの二次圧縮の限界は、
ノーマルの二次圧縮8.5kg/㎠に対して8~9kg/㎠ぐらいまでです。
つまり、純正と同等の二次圧縮で組む必要があるってことですね。
純正は発生する熱量に対してもある程度マージンを取ってあるので
マロッシシリンダーはかなりの熱量(パワー)を発生させることが出来る
シリンダーってことです。

ジャイロの場合、車重がある車種なのでこのパワーを高回転で回してあげるより
トルクで出してあげる方が快適に走行することが出来ます。
車でも車重の軽い軽自動車は高回転型、トラックなどはトルク型のエンジンですね。
ところが、ジャイロの純正シリンダーは設計はトルク型ですが、熱量に対しての
設計が不十分でトルクが足りないエンジンですね。
逆に横ディオ系のシリンダーは高回転型なのにマフラーや回転リミッターで
その良さを活かせない設計に成っていますね。

じゃ~、どのようにドライコーティングを再生とチューニングに活かしていくかを
次回からブログで書いていきます。

テーマ : カスタム
ジャンル : 車・バイク

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No title

2017年07月15日 11:24

やんちゃ親父さま、こんにちは。

先日、ツーリングに行きましたが
私の車両がまだ最高速1位の座を守っています。
というか、みんな私に追いつけ追い越せでチューニングしていますが、
少しずつピントがずれてきており
かえって遅くなったり、焼付いたりしています。
Y氏のシンコーコーティングマロッシの焼付きは吸気側でした。
SJ&エアーのセットミスです。
最年長HIDE氏に至っては
WRが重いのと、気温30度超えで
キャブセッティングが濃く出てしまい
パワーバンドに入らない状態でした。
HIDE氏も最後尾の座を
ずっと守っています。

Re: No title

2017年07月16日 00:09

GUCCIさん、こんばんは。

この時期のツーリングは暑さとの戦いですねw

コーティングマロッシの焼き付きの原因ですが、たぶん慣らし不足です。
コーティングシリンダーの慣らしって特殊なんですよ~
おとなしく走っていては、何km走っても慣らしは終わりません。
全開の時間を少しづつ長くしていかないと駄目なんです。
コーティングはピストンとシリンダーの擦り合わせで落ちていきますからね。

私のマシンも秋までに仕上げてGUCCIさんに挑戦しないといけませんねw